アノミアーナ の1年目の活動は、主に調査と視察でした。
その活動を通じて思い知ったのは「私は海ごみについて何も知らなかった」ということです。
それまでも海の環境保全活動の中で、海ごみ回収や学習会を年数回はやっていたので、それなりに海ごみのことは知っているつもりでした。
しかし、実際に調査し始めて見ると本当に知らないことばかりで、奥の深さ、法律や仕組みのややこしさに驚きました。
そして、いわゆる「ビーチクリーンイベント」で集められている海ごみは、全体のほんの一部であり、多くの海ごみは行政が業者に依頼して回収・処分をしている、ということを知りました。
と同時に、行政の担当者であっても、目の前の出来事に対処するための細切れの情報は持っていても、全体的に俯瞰できている人はいない、ということもわかって来ました。
私たちが「ワクワクチャレンジコンテスト」で採択いただいた事業内容は、調査や視察による海ごみ問題の全体像の把握と、調査結果の行政への報告と提言だったので、2020年9月から11月にかけて、若狭湾沿岸の6市町と県に報告と提言を行っていきました。
その皮切りは小浜市です。
なぜ、小浜市を最初にしたのか。
私が住んでいる町だから。これまでも海の環境保全や海のまちづくりに関わる中で、行政(農林水産課)とともに海ごみ問題にも関わって来たから。
という理由はありますが、それ以上に、調査の中で、小浜市が一番多くの問題を抱えていることがわかったからです。しかも、予算が足りずに漁港に積まれたままの海ごみが、その時点でフレコンバッグ240個分ありました。春から処分単価が3倍に急騰し、例年の予算では処理できなくなっていたのです。
更には、海岸管理者が県や市の5部署に分かれており、主な海水浴場は商工観光課、漁港や隣接する海岸は農林水産課、それ以外は都市整備課、市民の海岸清掃への対応は環境衛生課、とそれぞれバラバラに動いていたのが、ことをなおさら見えにくく、複雑にしていました。
小浜市への報告・提言には、市長、副市長と海ごみを担当する4つの部署から部課長級の職員が参加し、予定時間をはるかに超えて、熱心な討論の場となりました。
各部署がバラバラに動いていてはいけない、ということで、その場で庁内横断型のプロジェクトチームを組んで問題解決に当たることが決りました。
また、海ごみの再資源化やアップサイクルにも関心を示していただき、市長からは「海ごみ観光か〜。面白いなぁ」という声もいただきました。
庁内での半年間の議論、調整を経て、新年度となったこの4月から、特に海ごみの多い地区で説明会が開かれ、新しい回収処分方法が動き始めています。
処分費用の高い「全量埋立て」から、今後、分別回収、再資源化へと段階を追いながら進んでいく予定です。
これまで地域の方が集めた海ごみは全てベージュのフレコンバッグに入れ、業者委託で県外で埋立処分されていました。体積あたりの単価なので、重くても軽くてもフレコンバッグ1ついくら、という計算。この単価が8,500円から25,000円に値上がりしたのです。(全国的に見ても、今までの単価が安すぎたらしい)
費用を抑えるために、まずは硬質プラスチックを分けて市で処分することになり、分別方法を習っているところ。
市で処分するものは何度も使えるグリーンのバッグに入れ替え、業者委託のベージュの方も、詰め方を考えて隙間なくたくさん詰め込んでいきました。
これだけの作業で処分費用の3分の1がカットできることが判明しました!! 税金、使わなくてすみます!!!